英語him、わかりません!

コア式の語順訳とは、英語を語順通りに拾いながら、コア英語教室のオリジナル「訳ルール」を使って、日本語へ訳していくことです。意訳へ走らず、なるべく、英単語の意味をつなげただけの和訳にします。なので、時々、へんてこりんな日本語訳になりますが、子どもたちは、その英文が表現している内容、場面を把握できていますので問題ありません。意訳はもっと先、高校生になってからでも良いと思います。

コア英語教室へ入会した子どもたちに「語順訳ルール」を持たせ、それを使いながら英文を訳していきます。小5または小6からは「代名詞一覧表」も加え、その2枚を何度も確認させながら訳を進めてゆきます。

小5からコア英語教室へ入会し、語順訳歴も3年目となった生徒さんとの語順訳練習中でのこと。

初期段階では英単語ひとつづ拾って、意味をつなげていきます。とある例文で、次の単語は”him”。

himは代名詞一覧表にも載っているし、また、今までの練習の中でも何度も何度も登場している代名詞なので、願わくば自力で意味を出して(意味を覚えていて)ほしい…!完全とまではいかないまでも、せめて、”かれ”という部分だけでもだしてくれれば…と思いながら、、、

先生「はい、次、him」

生徒「him」

先生「意味は?」

生徒「わかりません」(きっぱり、迷いなく、吐き捨てるように即答)

先生「何度も出てきてるで、少しでも出てこないか?」

生徒「わかりません!」(きっぱり、迷いなく、即答)

先生「わからんことない、絶対少しは覚えてるはず。どこかに載っていたとか、少しでも思い出せない?」

生徒「わかりません!」(きっぱり、三度目の即答)

ちょっと待て。それは、あかん。思い出そうとしてないやないか…少し声を低め、ドスを効かせ、再度、

先生「全く思い出せないはずがない。どっかに残ってる。思い出そうとしなさいっ!思い出すことを放棄するなっ。思い出すまで、進まへんで。」

クラスの空気がし~ん…と凍りつき、1分程の沈黙のあと、

生徒「かれを、に」

先生の心の声「ほら見ぃ、出るやんっ。最初から考えろよっ。」

出たやん、すごいやん、とほめると、「当たり前やん」と照れくさそうに答える生徒。この後のやり取りは、まるで別人とのやりとりのようにスムーズに進みました。

中学生は学校の課題や部活などやるべきことも多く、疲れ切った中で授業を受けることも多々あります。生徒の中には質問を投げかけても返事がかえってこない(目を開けながら放心して(眠って)いる)こともあります。今回もひょっとするとそんな状況だったかもしれません。

見極めは難しいところですが、「考えてみること」「思い出そうとすること」を安易に放棄しようとしている態度はしっかりととらえ、正していかなければなりませんね。

しっかり、観察していきます。